気が滅入る
90歳を超えた私の母が私に会いたいという。
私は母のことが小さい頃から嫌いだった。
電話で会いたいと言われて、しばらく絶句した。
母は普通の母親とは違っていたと思う。
料理は下手で家事全般が苦手だったと思う。
知っているよ。う、わ、き、してたよね。
母が私に作ってくれた弁当は20回ぐらいかな。
数えられるぐらいで、遠足の梅干しのおにぎりと運動会の
稲荷と巻きずしかな。そこに他のおかずは無かった。
私は子供たちに数えきれないほどの弁当を作ってきたけどね。
小学校の低学年の時、兄の暴力に苦しんでいても、助けてくれなかったね。
初潮を迎えても何もしてくれなかったね。
母からは生理用品を一度も買ってもらえなかった。
ど田舎で生理用品を買うことがとても恥ずかしかったよ。
お金もなくて大変だった。当時母は閉経していた。
しつけも教育もなく、私は野生児となっていった。
東京に出てきて、とても苦労をしましたよ。
初任給から送金もしたよね。母の日にプレゼントも贈ったね。
結婚の時には、母からは何もなく逆にありがとうとお金をあげたよね。
もちろん、産後の世話も育児も何も頼っていないよね。
私は母には会いたくない。顔も見たくない。
母は近所の人を引き合いに出し、年に2~3回も会いに来ていると訴える。
でも、あなたは親孝行してもらえる親だったの?
私は田舎が大嫌い。嫌なことが山よどあった。お金がなくて馬鹿にされてた。
何も懐かしいものはないし、誰にも会いたくない。
気が滅入る。気が滅入るよ。
はあ~とため息をつき罪悪感を感じる。
私は悪いことをしていないと思うが、罪悪感を感じる。
ずるいよあんたは。ほんとにお前はずるいよ。
自分の罪悪感の解消に田舎へ行くことを決めた。
でも、気が滅入る。
あなたはいつもで生きるのだろう。
私は個人年金の給付が終わる75歳でいいや。