ケーキを欲しがる女

その日は女の誕生日だった。

午前中はショッピングモールへ出かけるも、お目当てのものはなくそのまま帰宅。

昼食後男はひとり、ぶらりと出かけた。

夕方ごろ男は戻るが、手にケーキは無かった。

女は無性に腹が立った。

なぜ、小さなケーキぐらい買うことができないのか。

自分の細々としたものは買ってきたのに。

男は金に困っていなかった。

女は泣けてきた。生まれて半世紀以上過ぎてはいるが、

毎年何もないが、今年は泣けた。